悲惨な子ども虐待事件が無くならないのは親の大半が愛着障害だからだ
根拠なき世界への信頼を育むことと生きる場所は他にもあると伝えること
■あまりに残酷無残な虐待はメディアもあまり報道しない
報道されていないから、起きていないわけではない。メディアが騒ぐ子ども虐待の事例も残酷だが、もっととんでもない残虐無残な事例は、あまり報道されない。
NHKスペシャル「消えた子どもたち」取材班編『ルポ 消えた子どもたち 虐待・監禁の深層に迫る』(NHK出版新書、2015)や、宮田雄吾『「生存者」と呼ばれる子どもたち 児童虐待を生き抜いて』(角川書店、2010)を読むと驚く。まさしく、事実は小説より奇なりだ。
2005年に福岡市で、裸足で歩道に立つ女児が発見され保護された。長さがバラバラの髪の毛は、あちこち引き抜かれ頭皮が見えていた。着衣には血痕がついていた。身長120センチ体重22キロの女児は、実際は18歳だった。18年間も母親に家に監禁され、小中学校にも通えなかった。父親や兄や姉は、母親のすることを見て見ぬふりをしていた。誰も母親の暴挙を制しなかった。意味不明な家族である。
2014年には神奈川県厚木市で、5歳くらいの男児の白骨死体がアパートの一室のゴミの山の中で発見された。役所に出生届は出されていたが、この男児は小学校にも中学校にも通っていなかった。母は家を出て、父は息子をゴミの中に放置した。こういう人生がある。
親のネグレクトのために、トイレで排便をすることすら教えられずに、小学校高学年になっても大小便ともに垂れ流したままの男児もいた。小学生4年生で養護施設に来たこの男児の放つ悪臭を何とかしようと下着を脱がせた職員は仰天した。からからに乾いた大便が大量に男児の臀部一面を覆っていたからだ。この男児が、排泄をコントロールして自分で処理できるようになるのに3年間かかった。
■妊娠中絶が犯罪者を減らした
ところで、1990年代の初頭あたりのアメリカ人は、未来は一層に凶悪犯罪が増えるだろうと信じていたのだが、実際のところは、2000年にはアメリカ全体の殺人率は35年前の水準にまで下がっていた。単なる暴行から窃盗まで減った。なぜか?
それは、1972年にアメリカで妊娠中絶が合法になったからだ。つまり、子どもを犯罪者に育ててしまう類の機能不全家庭を形成するに違いないタイプの女性が、妊娠しても子どもを産まないですむことができるようになったからだ。
ということが書いてあるのは、スティーヴン・J・ダブナー&スティーヴン・D・レヴィット著『ヤバい経済学—悪ガキ教授が世の裏側を探検する』(望月衛訳、東洋経済新報社、2007)だ。
アメリカのキリスト教原理主義者は妊娠中絶手術を行う医師を殺害するほどに妊娠中絶を蛇蝎視する。しかし、生まれたら、必ず親に虐待され、長じては犯罪者になるしかない哀れな人間を生産しないですむ妊娠中絶の功徳については何も言わない。
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『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』
著者/藤森かよこ
死ぬ瞬間に、あなたが自分の人生を
肯定できるかどうかが問題だ!
学校では絶対に教えてくれなかった!
元祖リバータリアンである
アイン・ランド研究の第一人者が放つ
本音の「女のサバイバル術」
ジェーン・スーさんが警告コメント!!
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これは警告文です。本作はハイコンテクストで、読み手には相当のリテラシーが求められます。自信のない方は、ここで回れ右を。「馬鹿」は197回、「ブス」は154回、「貧乏」は129回出てきます。打たれ弱い人も回れ右。書かれているのは絶対の真実ではなく、著者の信条です。区別がつかない人も回れ右。世界がどう見えたら頑張れるかを、藤森さんがとことん考えた末の、愛にあふれたサバイバル術。自己憐憫に唾棄したい人向け。
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あなたは「彼ら」に関係なく幸福でいることだ。権力も地位もカネも何もないのに、幸福でいるってことだ。平気で堂々と、幸福でいるってことだ。世界を、人々を、社会を、「彼ら」を無駄に無意味に恐れず、憎まず、そんなのどーでもいいと思うような晴れ晴れとした人生を生きることだ。「彼ら」が繰り出す現象を眺めつつ、その現象の奥にある真実について考えつつ、その現象に浸食されない自分を創り生き切ることだ。
中年になったあなたは、それぐらいの責任感を社会に持とう。もう、大人なんだから。 社会があれしてくれない、これしてくれない、他人が自分の都合よく動かないとギャア ギャア騒ぐのは、いくら馬鹿なあなたでも三七歳までだ。(本文中より抜粋)